惑星クローゼットを考察する

惑星クローゼット|comicブースト|さらに面白く、さらに読みやすく――webマンガサイトを《加速》させるcomicブースト
眠っている間だけ見知らぬ異世界に迷いこむ、女子中学生・愛海。異世界で出会った少女・フレアと共に「地球」へ戻る方法を探して2つの世界を彷徨うが……異才・つばなの「百合×SFホラー」!!

 惑星クローゼットはBIRZコミックから出ている、「つばな」による漫画です。一応帯などにもあるように「百合×SFホラー」を謳っています。
 百合要素はちょっとだけありますが、百合のみを求めて買う作品ではないと思います。ただ単純に作品として面白いのでおすすめです。
 この記事ではストーリーが少々複雑な「惑星クローゼット」の考察を少ししてみたいと思います。
 もちろんこの記事は単なる一読者である私が勝手に書いているものなので、書いてある考察が正しいかどうかはわかりません。「それは違う」とか「これはこうじゃないの」みたいなことがあれば、コメントにでも書いてくれると嬉しいです。
 この記事の内容は単なる私の解釈であり、正しいとは限りません。大切なことなので二回いいました。

 この記事は作品に関する致命的なネタバレを大量に含みます。まだ最後まで読んでない人はこの記事を絶対に読まないでください。この記事はこれを読む人が原作を全巻読み終えていることを前提として書いています。



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考察

 この作品は所謂「ループもの」です。主人公たちは同じような世界をぐるぐると回っています。ただし多くのループものではある条件を満たすことでループをでますが、この作品では最後までループを出ることはありません。
 死んだ人間は「次ループ」の「同じ」人間に転生するという輪廻転生とループのあわせ技みたいな世界観です。この作品におけるループについては、少し詳しくおまけに書きました。

登場人物

愛海:主人公。

フレア=めぐみ:主人公、愛海の娘。

先輩:フレアの先輩。

奈子:フレアの妹、愛海が死んだあとにフレアの父親(愛海の元夫)が再婚して産んだ腹違いの妹。

ピス=わたあめ君=愛海の右手:愛海の右手(の魂?)である。フレアをずっと見守りつつ守りつつしていた。

かんたんな設定とか

 以下では愛海たちがもともといた世界を地球、フレアたちが行ってしまった世界を惑星と呼ぶことにする。

 この作品において、人間は肉体+魂のふたつの要素で構成されています。地球では肉体+魂のふたつ揃った状態でしか存在できませんが、惑星では肉体と魂が別々に存在できるし、魂だけで惑星に行くこともできます。
 また、惑星に行く方法には肉体+魂の両方で行く方法(奈子、田村くんパターン)と、魂だけで行く方法(愛海が夢の中で行っていたパターン、幽体離脱パターン)のふたつがあります。魂だけで惑星に行った場合は、目が覚めれば魂は地球に戻ることができます。しかし、肉体ごと惑星に行ってしまうと、どこかの「地球と惑星をつなげるトンネル」を通らないと地球に戻ってくることはできません。
 また、魂と肉体が分離した状態で肉体が死んだ場合、魂は二度と地球に戻ることはできません(フレア、奈子パターン)。魂だけで地球に戻ると爆発して死にます(4巻p76)。
 また地球に肉体があってもそれ彼らに乗っ取られていると地球に帰ることはできません(1巻p123)。ただどうにかして身体を取り戻すことができれば戻れると思われます(4巻p252)。

 また、魂が惑星にあり肉体が地球にあるという状態は、身体が惑星と地球をつなぐトンネルになっていると考えられます。地球と惑星を行き来する方法は”基本的”には、惑星とつながっている人間の”肉体”を経由するしかありえません。愛海は自分の”肉体”を経由して、殺虫剤を地球から持ち込んだり、のど飴を惑星から持って帰ったりしています。

 また彼ら(惑星にいるエイリアンっぽいもののことです。漫画内で特に決まった呼び方がないので、ここでは「彼ら」と呼ぶことにします(4巻p255で愛海が彼らと呼んでいるので)。単数でも彼らと呼びます)は基本的に人間の身体を通って地球へやってこようとアプローチしてきます「彼らも私たちもただこの惑星から抜け出そうともがいてただけだったのかもしれない」(4巻p255)。彼らは人間の魂と干渉して肉体側にアクセスすることができます(幽体離脱した先輩の魂を経由して、地球にある先輩の肉体から出れるようになっている)。ただし彼らが地球側に行くためには、肉体が地球側にないとだめだと思われます。また、人間を使ってトンネルを作るのにはそれなりの時間がかかると思われます。2巻p56で準備が整ったらと言っている。また3巻p14では「もうすぐ大きな穴があく」と言っていますが、この穴は20年以上前に失踪した先輩の叔母さんの身体を利用したもの(4巻p210)なので、20年以上の準備期間がかかっていることがわかります。基本的に大きなトンネルを作ろうとするほど時間がかかるらしい。
 ただし「一度地球に着たことがある彼ら」は自由に地球と惑星を行き来できるようになるらしいです(1巻p139)。田村くんが肉体ごと惑星に来てからいつのまにか肉体だけ地球に戻っていたのも、田村くんを乗っ取った彼らは(先輩の身体を通って)地球にきたことがあるやつだったからだと思われます。

時系列

 時系列を簡単にまとめてみます。ループものなのでどこをスタートにするか難しいですが、フレアが先輩に会って惑星に行くところから始めることにします。

  1. フレア、先輩に誘われて(幼少期以降)はじめて惑星に行く(1巻p154)。
    このときフレアは無事に戻ってこれたが、先輩は彼らに干渉されて身体の中を通り道にされる。
    乗っ取られた先輩によって、フレアの両親は(おそらく)殺される。また妹は乗っ取られた先輩に食われて肉体ごと惑星へ行ってしまう(1巻p178)。
  2. 先輩は身体の中を通路にされる準備(2巻p56)の間、和久井メディカルセンターに入院していたが、準備ができたのか病院内で暴れだす。フレアは妹を助けるために先輩の身体を通って惑星に行こうとする(2巻p56、3巻p101)が、失敗して真っ二つになり肉体が死んでしまう。魂だけ惑星に残される。
  3. 愛海、(おそらく)初めて惑星へ行く。そこで肉体が死んで惑星をさまよっていたフレアと出会う(1巻の最初)。
    ここで、この愛海はループの1周目ではなくて、何度もループを経験したあとのn周目である。愛海には前世(前のループ)での記憶がかすかに残っている。
  4. フレアと愛海、先輩に食われて惑星をさまよっていた奈子を見つける(1巻p181)。しかし見失ってしまう。
  5. 再び妹を見つけたフレア、建物内で見つけた変な彼らを殺す(3巻p68)。ただし妹は肉体と魂が分離しており、肉体は乗っ取られてしまっている。
  6. 彼らが時間をかけて準備した地球への入り口が開く(3巻p14、p112)。
    彼らたちは「方舟」に乗って入り口を通り地球へ来ようとするが、入り口が大きすぎて通り抜けるのに苦戦する(4巻p27などを見るとわかるが、この方舟には大量の彼らが乗っている)。
    フレアと奈子は方舟に食われる。それを助けるために愛海も方舟の中に入る。内部で先輩(の魂)とも出会う。
  7. 奈子の魂、愛海を助けるために自分の肉体を包丁で刺して殺す(4巻p58)。
  8. 愛海たち、殺虫剤爆弾により方舟を破壊。愛海たちは彼らが地球に来ることは阻止したことになる(4巻p66)。
  9. 奈子の魂、魂だけで地球に戻ったため爆発して死ぬ(4巻p76)。またフレアの魂も地球に来ようとするが、入り口が閉じたためこれず、フレアの魂と愛海の右手だけが惑星側に残される。
  10. それから10年間、愛海は惑星に行けなくなる(行かなくなる?)。愛海はその10年の間にめぐみを生む。フレアも随分長い間地球に干渉できずにいたと思うが、めぐみの意識を通して? 愛海家のクローゼットにつながるようになる(4巻p161)。
  11. フレア、クローゼットを通してめぐみを攫おうとする(4巻p150)。フレアがめぐみを攫おうとしたのは、愛海に自分を殺させるためである。第33話、第34話から見ると、フレアの魂は彼らに乗っ取られかけている。「その時は殺して、いいよ(2巻p145)」「約束してたよね。私を殺してくれるって。(4巻帯)」「私がそうなったら 殺してくれるのは アイミだけよ(4巻p170)」
    そして愛海、昔の約束通り、フレア(の魂)をねんどべらで刺して殺す。
    ここで死んだフレアの魂が「前世」であり、めぐみが「現世」である。
  12. 愛海、色々と悟り、めぐみを残して死ぬ(4巻p174)。
    ただし、ここで死んだのはおそらく肉体だけであり、魂はずっとめぐみを見守っていたと思われる(4巻p254、ただし実際にめぐみのそばにいたのは愛海の右手=ピス)。
  13. 成長しためぐみ=フレアが先輩と知り合う(4巻p179。1.と対応)。
  14. 前ループと同じように、フレアが先輩とふたりで惑星に行く。彼らに襲われそうになるが、前ループとは違い先輩は乗っ取られずに帰還しているように見える。しかしなぜか奈子が乗っ取られている(4巻p242)。
    ただし愛海(の右手)に救われて、前ループと違い奈子や先輩も含め全員無事。
    ここでフレアは愛海(の魂)と出会う。
  15. 愛海(の魂)、フレアを救ったことで役目を終えて、右手(ピス)と共に成仏する(4巻p257)。
    またこの出来事以降、フレアは前世の記憶を安全に取り戻している。
  16. 15.で成仏した魂の来世が(4巻p268)の愛海。

謎な部分と私の解釈

愛海のちぎれた右手が戻ってる理由

 4巻のp82で右手がちぎれたが、すぐに元に戻っている。これは惑星側にちぎれた右手は右手の魂のみと考えるのが妥当だと思う。そう考えると、4巻p252で右手が戻っていることも整合的になる(この愛海は愛海の魂なので(肉体は4巻p174で死んでいる))。

ピス

 4巻p82で右手がちぎれているが、この「フレアへの大切な想い(4巻p87)」を込めた右手こそがピスである(4巻p252)。つまり以降の惑星側には2つ以上のピスが存在することになる? おそらく1巻からいたピスは前ループでの愛海の右手であり、4巻p252の右手がここの右手である? また幼少期にめぐみのそばにいたピス(わたあめくん)も4巻p82でちぎれたピスと同じものだと思われる? 4巻p178のピスを見るとわかるが、足がなくてちょっと小さいので、たぶんピスも成長しているんだと思う。ピスの一生を順番に追うと、

  1. 4巻p82で右手(の魂)が千切れる。
  2. フレアを探し続ける(4巻p83を見ると右手がフレアと離れてしまっているし、p87で「ずっと探し続けている」と言っているので、この右手は手をつないでいたフレアは見失ってしまったんだと思われる(p87の台詞は作中キャラの愛海の台詞なので正しいとは限らないが、メタ的には正しそうな気がする)。)。
  3. ずっとフレアが見つからなかったが、愛海がめぐみを生んだことで、フレアの来世であるめぐみを発見する。「フレアへの大切な想い(4巻p87)」を込めた右手として幼少期からめぐみを見守る(4巻p142のように部屋に現れた彼らを食べたりしている、またこの時点でのピスは黒くて小さい、3巻そでとか愛海メモとか4巻p178とかの見た目である)。
  4. めぐみが成長して忘れられるが、ずっと見守っていたと思われる。4巻p193でしれっと現れている。
  5. 4巻p249でめぐみのピンチを救う。そして愛海の魂ともとに戻る(4巻p253)。愛海の他の部分と一緒に成仏する。

 という感じなのかなーと思う。
 1巻からいたピスは前ループの愛海の右手だと思うが、5.でめぐみのピンチを救うことができず、めぐみの肉体が死んでしまったため、めぐみの魂といっしょに惑星側に行ったんだと思う。
 ちなみに惑星クローゼットのコミックスのそでの部分を見ると、1,2巻→大きなピス、3巻→小さなピス、4巻→右手となっている。 

殺虫剤が増えてる理由

 4巻、p38で殺虫剤が増殖している。もともとこの殺虫剤は第5話で愛海が間違って方舟に行ってしまったときに置いてきたものである。増えているのは前ループ(n-1,n-2,n-3…)の愛海が同じように殺虫剤を置き続けていたからだと思われる。

クローゼットが惑星につながった理由

 割と謎である。
 基本的にクローゼット以外では、人間の肉体を経由してのみ惑星と地球がつながっているが、クローゼットだけ例外である。

「コの子の意識ガまタ私ト世界を繋ゲたノよ」と言っている(4巻p161)。

 よって、めぐみキーになってクローゼットと繋がったのだと思われる。このときクローゼットの前にいるめぐみはフレアからみると、来世の自分である。同じ自分なので自分の魂とつなげることができたのかもしれない。
 ただし、2巻p16で愛海もクローゼットにあらわれている。これはよくわからないが、個人的にはこの愛海は前世の夢を見たのではないかと思う(1巻p132パターン)。4巻p173の流れを(メタ的に)考えると、愛海がループしていることに気づいた場面だと思われる。なのでクローゼットから出てきたというのも、前ループの記憶があるということに気づいた? と言えるかも。
 ただしフレアは完全にクローゼットと惑星がつながっている感じなので、フレアのパターンと違う感じになってしまう。よくわからない。

3巻でめぐみの名前を読んでいたやつの正体

 第21話のやつ、個人的にこの作品内で最も謎。
 3巻のp70で「めぐみ」と呼んでいるので、おそらく愛海に関係があるものではあると思う(先輩とかもめぐみと呼んでいるが、メタ的に先輩ではないと思う)。
 「うまくいかなかったループ」での愛海の魂の成れの果て? かもしれないというのは個人的に一番思った。まず4巻p256の愛海はフレアを救えたことに満足して成仏しているのでこの愛海ではない(それにもしこの愛海だとすると凄まじくバッドエンドになる)。
 とすると、身体を真っ二つにされたルートのフレアの親である愛海の成れの果てか? でもこのループの愛海はピスとして登場しているっぽいので、もしくはそれよりも前のループの愛海かもしれない。

 フレアの魂は第33話、第34話を見るとわかるように彼らに乗っ取られかけている(しかも見た目も第21話の彼らと同じような姿になりかけている)。なので魂だけでも長い間惑星にいると彼らに乗っ取られると考えられるかもしれない(乗っ取られるというより、見た目ごと彼らになってしまうのかもしれない)。
 これを考慮すると、愛海はこの症状がもっと進行したものだと考えられるかもしれない。「うまくいかなかったループ」での愛海は、4巻p256のように成仏していないはずである。そのためこの愛海はずっと惑星にいることになり、症状がどんどん進行して、ほぼ彼らと区別がつかなくなってしまっている。だからこの愛海は4巻p235で言っているように「死にたがっている」。彼らになりかけてしまい死にたがっているのはフレアと同じである。もしくはピスを読みながら考えたら、愛海そのものの成れの果てではなくて、ピスの成れの果てかもしれないなーとも思った。
 しかしそれにしても、3巻のp58は何を意味しているのか全く1ミリもわからない。

2巻で第15話で登場する建物、彼らの死体、人間の死体の正体。

 謎。
 そもそもこの建物が謎。たぶん彼らの昔の住処のようなもの? 愛海たちが殺虫剤爆弾で建物ごと爆破したように、どこかの誰かが昔破壊したんだと思われる。たぶん愛海たちではない誰かだと思う。人間の死体も明らかに愛海たちではない。
 この死体が別ループの「3巻でめぐみの名前を読んでいたやつ」という可能性も少しあるとは思う。しかし2巻のこいつは2発打たれているが、3巻のやつは1発しか打たれていない。

4巻p173の解釈

 愛海がループに気づいた場面。
 スプレー缶が増えたとき→ループしていることに気づいた。
 一度だけクローゼットから→前世の記憶があるということに気づいた?
 粘土ベラでフレアを殺すのも→前世の記憶があるということに気づいた(前世でもフレアを突き刺したことがあると気づいた)。

4巻、p142の奈子が乗っ取られている理由

 前ループでは先輩に食われたことで奈子は乗っ取られたが、ここの奈子は先輩と干渉する前から乗っ取られている。全くの謎。
 前ループで魂が乗っ取られたら来世でも乗っ取られているという説が出てくる。奈子の魂が前ループの時点で微妙に彼らに汚染されており、その魂の来世であるここの奈子にも影響を及ぼしているんだろうと思われる? しかし、奈子の魂はフレアなどと違って乗っ取られている描写はまったくないので、この解釈は違う気がする。

先輩の身体が死んでない件について

 先輩の魂は殺虫剤爆弾のとき(4巻p66)に死んでいるが、肉体の方はどうなったか謎である。肉体のほうは前ループでの愛海の世界にあるものなので、どうなったかは言及されていない。

なぜ和久井メディカルセンターは存在していないのか

 4巻p87にあるようにけっきょく先輩とフレアがいたはずの病院である和久井メディカルセンターは愛海の世界には存在していない。しかし、p184には存在している。このことから、おそらくこの病院はあるループのなかで、愛海が中学生のときにはまだ存在しておらず、愛海の子どものめぐみが中学生になるくらいまで待たないとできない新しい病院なのだと思う。
 (4巻p140にヒントっぽいものが書いてあるが、この時点での愛海はループしていることに気づいていない段階なので、この作中での考察は答えではないと思う)

奈子が爆死した理由

 魂のみで地球に戻ったから死んだと考えるのが一番自然だと思うけど、本来自分がいたループではなくて、次ループの地球に戻ろうとしたから死んだという可能性もあるかもとふと思った。

愛海が全裸で寝ている件について

 基本的に愛海は寝たときの格好で惑星に来ている(自分の身体を使って服を惑星に持ち込んだと解釈することができると思う)。ただし1巻p37では愛海が寝るときのかけてるやつ(1巻p62)だけで惑星に来ている。暑かったからだと思う。

まとめ。

 よくわかんねえ。
 わかる人いたらコメントください。あと「これも謎だ」というのもあればコメントください。
 しかし考えれば考えるほどよくできた作品だと思った。作者すごい。

おまけ(特にわかりやすくもない時間とループ回数の図)

横軸はループ回数、縦軸は時間である。ここでフレア、愛海と書いてある四角はフレア及び愛海が生きている間の時間を表している。愛海のほうが親なのでフレアの下にいる。本来は愛海とフレアがどちらも生きている時間もあるが、わかりやすくするためにかぶらないように書いた。青い線は”輪廻転生”、赤い線はいずれのループでも同じ惑星に干渉することが可能であることを示す。

 あるループn-1にいる人間が死ぬと、その魂は次のループnに存在する”同一の”人間に”輪廻転生”する。
 原則として異なるループにいる人間は本来お互いに干渉することはできない。しかし、いずれのループであっても「同じ惑星」とつながることが可能である(でなければ殺虫剤を増殖させたりすることができない)。ただし左の縦軸が「惑星内時間」になっていることからわかるように、別のループから同じ惑星に干渉しても、惑星内での時間は異なっている。また異なるループに直接干渉することはできないが、同じ惑星を通して間接的に別のループに干渉することができる。ただ、惑星はひとつとは限らない。
 例えばここでnの愛海を1巻最初の愛海だとすると、1巻の最初に惑星で出会うフレアはn-1のフレアである(だから年齢が同じくらいになっている)。第35話以降のフレアはnの愛海の娘でありnのフレアである。そして一番最後に出てくる愛海(4巻p268)はn+1の愛海である。
 和久井メディカルセンターができるのはいずれのループでも、愛海とフレアの境界線くらいであると思う。

コメント

  1. 匿名 より:

    2時間前に読みはじめて、その後こちらで答え合わせをさせてもらいました。
    読みすすめる中で理解を後回しにしたところもありましたが、こちらの記事で納得できました。根拠の部分の巻・ページ記載がありわかりやすかったです。
    このようにまとめるのは大変だったでしょう。よい考察記事でした。

    • フローラ フローラ より:

      ありがとうございます。私もただの一読者なので答え合わせというのは大げさですが、参考になったなら嬉しい限りです。

  2. 匿名 より:

    めぐみとフレアの関係は前世じゃなくて完全な同一人物じゃないかなあ

    3巻p58はなにかしらのメッセージを伝えたかったのでは?(非言語なのでイメージでしか伝えられなかった)
    例えば、でかいのは方舟である、とか、我々はもう全て終わらせてほしいと考えている、とか
    ただし「めぐみ」のメッセージを出した個体が実は愛美で彼女の魂は惑星に囚われてしまっているけど、めぐみ(フレア)への母としての愛情があの搾り出したメッセージだとしたら…
    個人的にはこっちの解釈の方が好みなので置いておきます、書き逃げですみませんが消化させてください

    本当に夢の世界をぶっこぬいてきた、みたいな作品でしたね

    • フローラ フローラ より:

      コメントありがとうございます!
      便宜上前世と言っていますが、いわゆる前世とは違いますね。
      また私も3巻の生き物は愛美じゃないかなーとは思ってます、何を言いたかったかはわかりませんが、なにかを愛美が伝えようとしていたんですかね……。

      非常に面白い作品なので、みんなに読んでほしいですね!

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